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“平成の米騒動”がきっかけで注目された「エルニーニョ現象」 大凶作をもたらした天候不順について気象予報士が解説
2024年夏から始まった「令和の米騒動」。実は32年前にも、天候不順による大凶作を原因とする「平成の米騒動」がありました。村田光広気象予報士が、当時の気象を解説します。
1993年夏は梅雨前線が停滞していた
平成の米騒動が起きた1993年(平成5年)は、梅雨前線が長期間日本に停滞。気象庁は梅雨明けの発表をしたものの、沖縄以外の梅雨明け撤回する異例の事態でした。
通常であれば夏になると南の高気圧が強まりますが、北の冷たい高気圧の方が勢力が強く、日本に向かって北から冷たい空気が次々に流れ込んで、低温と日照不足となりました。
年間6個の台風が上陸
当時、福井の夏の平均気温は平年を1℃以上2℃近く下回り、降水量は平年の約1.5倍、日照時間は平年の半分程度でした。
コメの収穫期である秋にかけては、台風が記録的な上陸数となりました。夏の高気圧の張り出しが弱かったため次々と台風が接近。当時としては1位の記録となる年間6個の台風が上陸しました。
冷害が引き起こした米騒動
当時の天候不順による「平成の米騒動」がきっかけとなり誕生したのが、 今話題の 「備蓄米」です。冷害のために陥った平成のコメ不足。この経験から1995年に「備蓄米制度」が確立されました。生産量が大幅に減った場合や不作に備えて政府が計画的にコメを備蓄するものです。10年に1度の不況にも対応できる量として100万トンを備蓄。毎年20万トンずつ古くなったコメを定期的に入れ替えています。
令和の米騒動で一気に注目を集める備蓄米。その発端は32年前の米騒動にありました。
エルニーニョ現象も注目ワードに
天気予報でも、これがきっかけで注目されるようになったワードがあります。それが「エルニーニョ現象」です。エルニーニョは1993年の天候不順の要因でもありました。南米ペルー沖の海面水温がいつもより高くなる現象で、これが発生すると日本は冷夏になる傾向があります。この米騒動をきっかけに、異常気象をもたらす要因として注目されるようになりました。
ただ、今年はエルニーニョは発生していないため冷夏になることはなく、厳しい暑さとなる可能性が高くなっています。
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